[]研究開発拠点としての魅力を確保するために (「日経ビジネス」6月13日号)

hyoshi




今週の日経ビジネス、第一特集はMBOでしたが、目に留まったのはもう一つの特集「強い分散経営」でのコマツの事例。



コマツの場合、組み立て工場は需要地立地にして分散型にさせつつ、エンジン生産は小山工場への超一極集中にしているそうです。その理由として、野路社長がインタビューで言っていたのが、技術的なイノベーションを起こすには日本立地の方が有利という話。



要するに、部品・素材メーカーなど、この産業に関連する企業が距離的に近いところに居るので、協力会社と共同で開発をしていくのが容易という話でした。



これ、ちょっと前に化学系の友人も同じことを言っていて、彼は、「素材サンプルあります?」と電話して1時間で実験が出来るようになる環境なんて、世界中見渡してもそうそう無いと言っていました。情報の流通だけならネット環境が整えば地理的に近い必要は無いんだけど、モノづくりの場合は実際のブツが手元に無いとどうにもならないので、イノベーションには立地が依然として重要なのだそうです。



この手の産業クラスターの存在が日本の製造業の強みの一つだった(過去形)とは思うのですが、問題はそれが将来的にも続くのかどうか。



問題は二つあって、一つは、やっぱり、「モノ」を作る場合は最大需要地への地理的近さが有利に働いてしまうということ。これはネット関係との大きな違いだと思います。輸出拠点として日本はまったく魅力が無いのも問題で、これは政治の問題が大きい。



もう一つは、日本は外から知恵のある人を呼び込む努力をしていないということ。税制や住環境、言葉の問題など、内に閉じすぎ。



ただ、現状のクラスターのレベルの高さを有利に使って、先々も日本がモノづくりの研究開発場所として有利な立場に立ち続けることも出来るはずで、特に九州など、最大需要地のアジアに近い地域は、政治と社会の取り組みの仕方によっては相当強い地域になれるのではないかと思います。



世界中から、と言わないまでも、少なくとも中国・アジア圏の優秀な技術者を呼び込むための社会インフラを整え、輸出競争力をつけるために税制や雇用、その他規制の改革をし、東アジアの研究のハブのようなポジションを目指す、というのはまったくもってアリだと思います。



東京に首都が移って400年?ですが、そろそろ遷都の季節では?と思います。