[]リーダーシップの話に見える。 (「影武者」:黒澤明)

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武田信玄に瓜二つの盗人が、影武者として拾われ、その役を果たしていく様を描いた黒澤作品。



結局、話の根幹は武田にとって信玄の存在があまりにも大きかったということ。信玄の不慮の死の後も、敵を牽制し、味方の結束を保つためには外見が瓜二つの影武者が必要で、また、長篠の戦も武田勝頼の将としての才の無さが敗因という描かれ方をしています。



影武者は、拾われた直後に一度だけ信玄本人と面会し、敬服をして盗人であることをやめ、影武者として生きていくことを選択します。



最後は本来の自分の愚かしさから出た行動の為に失脚し、武田は長篠の戦を経て滅亡していくのですが、この影武者は、何度か重要な局面で、影武者本人の判断で信玄が行うような裁きを見せます。



リーダーの素養の無い者が、リーダーらしく振舞うという面白さ。その背景には、「御館様だったらどう行動するか」「風林火山の山としてはどうあるべきか」というメタ認知的な思考があって、おそらくこれが人をリーダーに成長させていく際のポイントなんだろうと思います。



影武者の喜悲劇を描いた作品ですが、僕にはリーダーシップの話に見えました。