[]"Biutiful"

**ネタばれ注意**



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脈々と続いていく親と子の血の繋がりを、バルセロナの底辺社会を生きるウスバルという男を軸として三世代分切り取ると、こういうストーリーが見えるということなんだと思います。



僕は結構この映画は心に刺さりました。



ウスバルはバルセロナで不法移民の仕事の斡旋をし、また多少の霊的能力があるため、死者の思いを残された肉親に伝える仕事をして生計を立てています。 そんな彼が末期癌に侵され、余命2ヶ月と診断されます。



ウスバルがその余命2ヶ月で行ったことは、「薬に手を出し、妻・母親として安定できない妻と家族の再生を試みる」「中国不法移民の待遇を改善しようとする」「アフリカ不法移民で夫が強制送還されてしまった女性を助ける」、ということですが、結局すべての試みが裏目に出てうまくいきません。 



このウスバルという男は、2ヶ月の余命の中で何かを達成して観客にカタルシスを感じさせるわけではなく、かと言って自らの失敗の中から何かを教訓として見せてくれるわけではありません。



それでも自分の心に刺さった理由は、やはりこの映画が「血の繋がり」を描いていたから。しかも、非常に重い描き方で。



韓国映画ではこのテーマは何度も何度も描かれるのですが、まさかこのテーマをBiutifulに見出すとは思わなかった。



オープニングの場面とエンディングの場面、見たことの無い父が口にした台詞は息子がある夜にふとしゃべった言葉。「父が居たことを忘れないでくれ」という台詞。



最後の15分の余韻が非常に重い映画でした。