[]化粧品メーカーになる必要性はあるのか? (富士フィルム:Astalift)

写真2




先週末の丸の内線のつり革広告。



富士フィルムの化粧品Astaliftの広告がかなり出ていました。



富士フィルムがフィルムで培った技術を生かして化粧品に参入したという話は前々から聞いていたんですが、広告を見てやっぱりちょっと違和感を覚えました。



昔あった「花王フロッピーディスク」(なんか、泡立ちそうなフロッピーディスクだな、と皆が思った)を彷彿とさせるのですが、根本的な疑問は、富士フィルムが化粧品メーカーとして最終商品を売ることは、この会社にとって美味しいのか?ということ。



いま、ささっと国内の化粧品メーカーの収益を見ると、資生堂で売上が7,000億円くらいで営業利益率1ケタ台後半をうろうろ。コーセーなどもうちょっと小さなところだと、売上2,000億円に満たなくてやっぱり営業利益は1ケタ。 ロレアルなどグローバルプレーヤーになると、もうちょっと儲かって、でも営業利益は15%くらいのようです。



しかも、なんか国内プレーヤーの売上は伸び悩んでいます。



端的にいって、この業界って日本のプレーヤーにとってほんとに美味しいの?と見えてしまいます。



営業人員も美容スタッフも、結構大規模に抱えないとならないように思うし、固定費が高そう。ブランドのプレミアムが無いと値段も上げられず相当生産性が悪そうです。富士フィルムの場合、既存のイメージングの営業人員を流用するというのは商品の特性上も、チャネルの違いからも難しいように思います。



正直、最終商品を作るメーカーになるのはいばらの道に見えます。



富士フィルムに技術力があるのは間違いなくて、きっと商品はとてもよいのだと思います。ただ、最終商品を作るメーカーを目指すのではなく、材料メーカーとしてプレミアムブランドの化粧品メーカーと組むという選択肢がどうして採用されなかったのか。



ほぼ間違いなく、材料メーカーに徹したほうが儲かるんだろうと思います。普通はこちらの選択肢を先に考えると思うのですが、どうして最終品メーカーを目指す決断を下したのか。詳細はわかりませんが、とても気になるところです。



将来を見据えて、事業ポートフォリオを果敢に変えるという試みは、これからの日本企業にとても大切なことだと思うだけに、こういう富士フィルムの挑戦には是非成功してほしいものですが、果たしてどうか。。。