[]原発社会からの離脱

no title




「マル激トークオンデマント」というインターネット放送が有ります。この本の内容は、それを観ている人にとってはすんなり入ってくる話なんですが、そうでない人にとってはちょっと分かりにくいかもしれません。



「エネルギー供給の分散化はコミュニティ強化に役立つ」というのが基本メッセージ。



日本は地域コミュニティを分厚くする方向にしか活路が無いように思うんですね。背景にあるのはグローバル化。製造業のような労働集約的な職業はどうしても減らざるを得ないので、それに変わる仕事が創出出来ないと社会として全く回らなくなります。



社会福祉も、今は将来世代から借金をしてやっていますが、早晩システムとして成り立たないのは火を見るよりも明らか。



政府に金は無いので、今までのように中央に「お任せ・丸投げ」というスタンスを取ることは出来ません。



これ、日本だけでなくて、先進国が共通して抱える問題なのですが、その解決策として、確かにそれしか解決策が無さそうと思うのが、地域コミュニティを分厚くするという解決策。具体的にはイタリアのスローフード運動に見られるような、衣・食・住をコミュニティ内で自給自足的に回して行くというやり方。



エネルギーの分散化は、確かにここで著者達が語るように、このコミュニティの厚みを出す時の中心的な政策になると思います。特に、それが再生可能エネルギーで賄われる場合は、エネルギーの生産と消費という経済活動がコミュニティの内部で循環することになり、経済的にも厚みをまします。



アイスランド地熱発電所を見学した時に、エネルギーがコミュニティ運営のとても大切な要素になっているのを見ました。具体的には、電気の供給だけでなく、温水の供給による暖房システムの提供や、ビニールハウスへの余熱提供による農業振興など、効率的な産業運営に役立っていました。(当時は金融危機直後でアイスランド経済自体は死に体でしたが。。。)



今、ネット上で繰り広げられている、再生可能エネルギー「推進」対「反対」の議論は、この部分の論点がすっぽり抜けてしまっているので、ちょっと変だなと思います。



安全保障上きな臭い動きが、この後2020年代に渡って問題になって行きそうですが、そういう世界情勢に備える上でも、いまこういう動きをすることは非常に大切なのだと思います。