[]結局は「空気の研究」か(「満鉄調査部 元祖シンクタンクの誕生」)

満鉄調査部




戦時経済の分析は、国の財政とマクロ経済の分析ですが、なんか企業の事業分析と似てますね。



戦線を拡大して、中国にたくさんの資産を持ってる状態って、バランスシートがパンパンに膨らんじゃってる状態に見える。それが金を生み出してないので資産効率が落ちてしまっている。軍事費に費用を振り向けざるを得ず、といって、軍事活動はキャッシュを生まないのでどんどんキャッシュフローが悪化していく。で、行き着く先は倒産、みたいな。



事業状況を整理して、先々の歳入分析をすれば、即時撤退みたいな判断になるはずなんだけど、当時の空気はそういう合理的な調査報告を受け付けないばかりか、そういうものを書いた人を処罰する状況だったとのこと。



満鉄調査部がその後期に出した「日満支ブロック・インフレーション調査報告書」というのは、まさにそういう扱いを受けた報告書だったそうです。



でも、こういう体質って今も変わらないよなー、と思いますね。明らかに将来性が無く、収益も出さない事業なのに、「社内の士気に関わる」とか「辞めるわけには行かないのです」とか、なにやら得体の知れない力学によって非合理な判断をする会社なんて今の時代でもごろごろいます。



この国で仕事をする以上、この「空気」の流れをどうコントロールするか、ということを絶えず意識しないとならないんだよな。合理的な分析を行って説得にかかるよりも、どのタイミングで誰に何を言えば空気が変わる可能性があるのか、そこに焦点を絞って仕事をする必要があるわけです。