[]明日が最後のチャンス。是非観てほしい映画(Eric Khoo "Tatsumi")

無題




これ、東京国際映画祭の「アジアの風」部門の映画なんですが、お勧めです。



今回のお勧めは期間限定というか、、、、上映チャンスが明日の1回きりなんですよね。平日ではありますが、ノー残Dayとかだったりしたら六本木ヒルズの東京国際フィルムフェスティバルに足を運んで観てみると良いと思います。チケットがまだあるのかどうかはわかりませんが、20:10〜@六本木ヒルズです。



*作品概要等はこちら



作品は、「劇画」という漫画のジャンルを作った辰巳ヨシヒロの半生を振り返るもの。



どうして辰巳ヨシヒロを題材に映画を作るのか、観るまではよくわかりませんでしたが、観終わった後はとても納得している自分がいます。戦後日本とはなんだったのか、を考える上で、これってとても面白い。



小学校高学年まで昭和の空気を吸って育ったけれど、自分は昭和のことを何一つ判っていないということが非常によくわかりました。



バブル崩壊後の低成長時代を生きる僕らにとって、高度経済成長下で社会が「発展」し続けた昭和という時代はある種のノスタルジーの対象です。だからこそ「三丁目の夕日」みたいな映画が心を暖めたりするんだけど、一方で、この時代は工業の発展(トフラーの言い方を借りれば「第二の波」)によって、様々な社会問題を引き起こしていた時代でもあります。



貧しく、油っぽく、社会から切り離された個人が苦悩して地獄を味わうような社会。そういう灰色の風景が経済の発展の裏側にあったということを、実感を持ってこの映画は伝えてくれます。



と言っても、別に作品は昭和という時代の闇の部分を伝えるために作られたわけでなく、あくまで「辰巳ヨシヒロ」という人物のリアリティを伝えることだけを考えているように思います。



ホウ・シャオシェンの「珈琲時光」を観て、この人はどうしてこんなに東京のことがわかるのだろう、日本人よりもよっぽどリアリティのある東京を描いているじゃないか!と思って涙が止まらなくなったのを思い出しました。



エリック・クーはシンガポールの監督ですが、とんでもない昭和のリアリティを見せてくれます。



驚きの映画でした。