[]まるでジェットコースターのような収益状況(任天堂)

ちょっと任天堂の最近の業績を見てたんですが、おもろいね、この会社





・ゆうても超優良企業である

  ・業績急降下の2010年でも20%近い営業利益

     ・好調時は営業利益が30%以上の時も

  ・負債/純資産が1.7兆円で、うち1.5兆円が利益剰余金

     ・ここは評価は分かれるが

・2005年から2008年の3年で売上規模を約4倍に伸ばした

  ・DSとWiiの世界的な大ヒット

  ・5000億円規模から2兆円弱まで拡大

・と思ったら、次の3年で売上が半分に

  ・売上1兆円を割ってしまいそう

  ・Wiiはヒット作が続かず、DSは後継の3DS不調

  ・iPhoneにユーザーを奪われた模様





ソフトを自社のハードにしか出さない方針なので、ハードが不調になるとソフトも連動して不調になっちゃうんですね。



ボラティリティがとても高い戦略で、普通に考えたらおっかない。



ただ、過去の好業績を見るに、この潔さというか、退路を断つというか、ソフトとハードを完全に連動させることで自社の差別化を図る戦略は結果的にはうまく行っていたようです。とすると、当然気になるのは、今後も任天堂は高収益を保てるのかどうか。



個人的には、それはちょっと難易度が高いように思います。



携帯ゲーム機はスマホの拡大がちょっと厳しい。スマホの普及が進めば進むほど、デファクトのプラットフォームを取ることが難しくなるので、昔のDSのような儲け方は出来ないでしょう。持ち歩くモバイル端末はできれば1個であってほしいのはどの市場でも同じで、スマホのゲームで十分と思う人の数は増えることはあっても減ることはなさそう。



家の据え置きゲーム機もちょっと怪しい。将来的には、「据え置きゲーム機」っていうのは、ホームサーバー的なものに統合されるとか、そもそもゲームもクラウド側に行ってしまって、残るのはコントローラーとセンサーだけになってしまう、とか、そういうリスクもありそうで、そうなってしまった場合は任天堂はかなり厳しい。



地域軸で見ても、任天堂があまりにも米国・欧州・日本中心でやってきているので、この先の大市場の新興国の拡大をどれくらい取り込めるのか。コストにシビアな新興国の顧客はゲーム機をすっ飛ばして、先進国が向かうのと同様の世界に行ってしまいそうな気もします。



ブルーオーシャン戦略の典型例として華々しく紹介されていた数年前から一転、厳しい状況に追い込まれている任天堂ですが、「ゲーム顧客基盤を広げる」という発想をさらにグローバルに広げてがんばって欲しいんだけどなあ。