[]プロフェッショナルとその組織論(斉須政雄「調理場という戦場」)
これは良い本。
料理の世界は、自分の仕事とアウトプットが明確に繋がっています。いわゆる、「プロフェッショナル」というくくりに入る仕事。なので、一流の料理人の仕事ぶりからは示唆が得やすい。
斉須さんの考えで、なるほど、と思ったのは「料理は細かい作業の積み重ねで、そのひとつひとつの作業で妥協しないことが料理の完成度を高める」という話。
単純そうに見える料理でも、一般人はどうしてもプロ並みのものを作ることが出来ない。それは、その料理を構成する一つ一つの作業で、少しずつ技の差が出るからという話でした。
小さな仕事の積み重ねで手を抜かないことがプロの基本的な心構え、とのこと。当たり前の話ではありますが、なるほどと思わざるを得ない。
もう一つ、なるほど、と思ったのは、プロの組織の作り方。こちらはパターンがあって、特に、パリで斉須さんが働いた2つの3つ星レストランの対比が面白い。
片方は、、、
・一皿を最初から最後まで一人の料理人が作りあげる
・人の回転を意図的に早くして、新陳代謝を良く保つ
・ちなみに、オーナーは一日中掃除している謎の人物
もう片方は、、、
・徹底した分業
・権威主義的ピラミッド組織
・オーナーは料理人を厳しく管理・統制している
どちらが良いというわけではありませんが、目指す方向性によって作る組織が変わるというところが面白い。
最高の料理を作る、という点に置いては同じなんだけど、そこを目指す経路が違うんですね。
前者は個人の技(特に、新しい旬な技)のざっくりした組み合わせで料理の質を上げようとするタイプ。後者は組織力で料理の質を上げようとするタイプ。
組織の形が変われば、当然働く人のモチベーションをどうやってあげるのかも変わってくる。
この辺の組織の考え方はとても面白いです。
三田の「コート・ドール」、まだ学生だったころに一回だけ行ったことがあります。しばらくぶりにまた行ってみようかな。