[]観ると後悔するかも（映画「冷たい熱帯魚」）

この映画はヤバい。



ヒミズから遡って来て3作目の園子温作品ですが、これはヒミズよりヤバい。



強烈にスプラッターシーンが多く、よくまあこんな映画が撮れたもんだと思います。でんでん演じる村田が怖すぎです。鼻歌歌いながら風呂場で死体を解体するシーンのあたりで、価値観がおかしなことになってきてしまいました。



「透明にしちゃえばいいんだよ」と言って、村田は次々に人を殺して解体して証拠隠滅を図ります。あまりにも命が軽々しく奪われていくので、観ている方は村田が悪事を働いているのかそうではないのか、良く分からない状況になってきます。



その状態で、衝撃的なシーンが挿入。



村田は、吹越満演じる、主人公の社本に無理やり殺人のアシスタントをさせるのですが、この社本を「お前は、自分では何も解決策を提供できない甘ったれだ！」としかりつけます。



確かに、主人公の社本は優柔不断で自己中心的で、家族には愛想を尽かされているのですが、殺人鬼の村田にしかりつけられる筋合いはありません。ところが、この説教が非常に的を得ていて、さらに村田の社本に対する父親的な愛情さえも感じてしまう内容になっているのです。



一体これはなんなのか？と



村田は確かに強く、しっかりとした考え方を持っていますが、単なる殺人鬼です。にも関わらず、彼の言動に倫理的な正しさを感じてしまうこの感覚は奇妙としか言いようがありません。



最終的には、ここからストーリーは急展開を見せ、とんでもないエンディングで映画は幕を閉じるのですが、観終わった後呆然自失。



これは本当にヤバい映画です。観ると後悔するかも。