[]経営は生ナマしいところが一番面白い(入山章栄「世界の経営学者はいま何を考えているか」)

25412944_1




経営学の研究成果を一般向けにまとめた本って、僕はこれまで見たことがありません。



経営学の入門書はいくつもありますが、最近の研究をスクラップブックにして、というのはこの本がほとんど唯一じゃないですかね?



こういう試みは、アカデミックと実務を繋ぐ上で重要なので、類書がこれから出るようになると良いな、と思います。



で、読んだ感想なんですが、なんというか緊迫感が伝わってこないんですよね。経営学が答えなければならない問いって、もっと緊急かつ重要なものがいくつもあると思います。



例えば、、、



グローバル化がさらに進む世界で、既存企業はどのような経営体制をとるべきか

  −組織体制、人事制度、投資戦略、ステークホルダーとの関係、、、



みたいな話って、コンサルティング会社がプロジェクトごとに答えを出していますが、アカデミックな立場としてはどういう答えを出すのか?



コンサルティングファームは厳密性には目をつぶって、目の前にいるクライアントにインパクトが出る提案をしていきます。そういう個別具体の話の一段高いところに何かしらの真理があったりしないのか。実務に近いところで仕事をしている身からするとそんなことを感じます。



ハイパーコンペティションも良いんですが、世の中の大きなうねりから、アカデミックが置いてきぼりになってはいないか?という印象を持ちました。



著者も言うように、本書で紹介されている研究内容は経営学全体のごくごく一部なんでしょうが、それぞれの研究が「どのような社会的な問いに答えたいと思っているのか?」がよくわからず。



学問領域として何を目指しているのかが良くわかりませんでした。



やっぱり経営は生ナマしいところが一番面白い、といういつもの話なのかなあ。。。