クレーマー、クレーマー(1979)

クレイマー、クレイマー







あー、良い映画見ました。



オープニングとエンディングが素晴らしいですね。主婦を8年間やる中で、個人としての尊厳を見失って家を出るわけですが、その背景をまったく説明せずに唐突に出て行ってしまうところに、問題の切迫度合いを感じます。



離婚と裁判という、アメリカ的な問題が主題なわけですが、この夫婦の場合は、離婚の背景に「個人の尊厳ある人生」というかなり真面目な原因があることが、オープニングの脚色によって即座に理解されます。



この、オープニングシーンで理解したのっぴきならない事情と、その後、ダスティン・ホフマンと子役の名演によって描写されていく、父親の子供に対する愛情とが両極をなして、切ない綱引きがなされ、胸が痛みました。



そして、ラストシーン。途中何度もダスティン・ホフマンが口にする"Terrific!!"という短い一言が、もう一度ダスティン・ホフマンの口から発せられ、それに対してメリル・ストリープが、その瞬間の感情の起伏を、まさにterrificに表現した表情で幕が閉じられ、エンドロールとなります。



結局、その後どうなったかは誰にも分からないわけですが、素晴らしい余韻に浸ることが出来ました。





言うまでも無く名作です。







1979年アカデミー賞

□作品賞

□主演男優賞:ダスティン・ホフマン

助演女優賞メリル・ストリープ

□監督賞:ロバート・ベントン

□脚色賞:ロバート・ベントン