失敗の本質
洋服屋で春物のディスプレイが出始めましたね。
すげー寒いのに、なんてこった。
正月休み最終日の今日、目覚まし時計のなり具合をチェックするため、7時半に一度起床。携帯の目覚まし機能を使っていたのですが、先週、携帯電話を買い換えたので、明日からのために一応試験。問題なく起きられたので、明日もきっと大丈夫でしょう。。たぶん。
ちゃんと鳴って起きたのを確認し、二度寝。これがたまらんのですな。あー、ぬくぬく。
11時にちゃんと起きて、ヨーグルトとサプリメントを食べ、久しぶりに初見の英語インタビューのシャドーイング。Reese Withersoonのインタビューでしたが。。。んー、、、20%くらいの反復率かな。 ニュースに比べ、会話はシャドーイングしにくいのは確かなのですが、この出来なさっぷりは結構凹みました。
自分のシャドーイングを録音して聞き返してみても、何言ってんのかわからん。ひどい。。
日→英の訳出の復習と英→日のサイトラの復習を少々やってアカデミーヒルズへ。 今日も混んでました。
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「失敗の本質」
野中郁次郎がらみの本って、買ったは良いけど本棚の肥しにしてしまっているものが多かったのですが、これはちゃんと読みました。
良書だと思います。(自分の仕事が、組織論を避けては通れない内容になってきたことが主因ですが、、、)
戦略を考えるのも大事なのですが、組織のコミュニケーションの壁が突き破れずに成果が出ないというのが最近の自分の問題だと思います。戦略に適した形態に組織をトランスフォームさせるのがマネジメントの仕事とすると、自分の仕事は、所与の組織の条件下で、コミュニケーション効率を最大化させ、戦略を実行させ、成果を上げることだと思っています。
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○競合他社を叩き潰す
○マーケットシェアを奪う
○相手の得意領域に突撃する
など、ビジネス表現においては、「戦闘」のメタファー表現が頻出します。レイコフが優れて鋭い指摘をしているように、商売は「戦争」のメタファーによって理解されていると考えられます。
そういう意味で、「大東亜戦争における諸作戦の失敗を、組織としての日本軍の失敗と捉え直し、これを現代の組織一般にとっての教訓あるいは反面教師として活用することを狙いとした」この本によって提供される知見は、極めて理解しやすいわけです。(*逆にそれが問題でもあるわけですが)
さて、内容ですが、前半は「ノモンハン事件」「ミッドウェー海戦」「ガダルカナル作戦」「インパール作戦」「レイテ海戦」「沖縄戦」の6つの局面における日本軍の組織的動きを詳細に検証し、個別のアナリシスを行って行きます。
後半は、総合アナリシスを行い、米軍との比較を交えながら、組織としての日本軍の問題を明確に指摘して行きます。
日本軍に関する指摘のはずなのですが、ほとんどの問題が身に覚えのある問題に思え、問題の根本が文化的なルーツを持っていることを再認識させられます。
例えば、
「日本軍が戦前において高度の官僚制を採用した最も合理的な組織であったにもかかわらず、その実体は、官僚制の中に情緒性を混在させ、インフォーマルな人的ネットワークが強力に機能するという特異な組織であることを示している」
なんていうのは、どっか、近くで見た組織形態ですね。
それから、この本は、その目的に従い、まさに失敗の本質を概念化している点が素晴らしいです。
○日本軍のパラダイム
陸軍:「白兵戦決戦」
海軍:「艦隊決戦」
陸軍も海軍も、それぞれ過去の原体験からくる強力なパラダイムを持っており、第一次大戦以降の環境変化においてもパラダイムシフトを行うことが出来なかった、という洞察が引き出されています。
○グランドストラテジー、コンティンジェンシープランの欠如
米軍:資源の効果的使用による圧倒的物量
日本軍:???
日本軍(というか、これなんて身に染みるわけですが、、)の決定的問題として、グランドストラテジー(大局で見てどう勝つか)の欠如が指摘されています。日本軍が「南方資源を確保後、米国の戦意喪失を図る」みたいな、極めて相手依存なグランドストラテジーに依存していたのに対し、米国が「長期的な消耗戦を予測し、生産の標準化と最終的な圧倒的物量で日本本土に上陸し勝利を得る」という極めて具体的かつ、自立的なグランドストラテジーを持っていたことが指摘されています。
さらに、「もし当初計画が失敗した場合は〜」というコンティンジェンシープランの欠如も指摘されています。計画変更が場当たり的なのは帰納的という事もできるので、必ずしも悪とは言えないとは思いますが、間違った計画変更が行われるケースが大半で、戦略オプションが1つしか無いことのマイナスの側面がもろに出てしまった例と言えるようです。
要するに、パラダイムとグランドストラテジー、コンティンジェンシープランが統合されておらず、頭で考える「プラン」では無く、経験として染み付いた「パラダイム」が戦略をリードしてしまう組織文化が問題と言えそうです。
こういう場合、勝つためには、演繹的に「1.パラダイムシフトを起こす」か「2.正しいグランドプラン、コンティンジェンシープランを作成する」か、どちらかを行う必要が出てくるはずですが、それを行える個人もしくは組織が存在しなかったことが敗因の一端と言えそうです。(これはマネジメントの欠陥だと思います)
他にも、言っていることは当たり前のことが多いのですが、各戦局の詳細な分析に裏づけられた説得力のある洞察が豊富に示されています。
ご一読をオススメします。