[]トップの行動が規範に血を通す、ということだな 「熱湯経営(樋口武男)」

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「正確に時を告げるのでは無く時計を作る(ことが重要)」という命題がビジョナリーカンパニーにありますね。要するに、優れた洞察力を持つ天才は事業を発展させるが、その人が居なくなると途端に組織は止まるので、会社を発展させる規範を制度として作らないとならない、という話。



でもこれ、実はそんなに簡単な話ではなくて、時を正確に告げる時計を作ってしばらくすると、今度は「作った規範はどうすれば上手く機能するのか?」という次の論点が出てくるんですよね。で、これがなかなか難しい。



この論点に対する解のひとつが、樋口さんの熱湯経営の話なんだと思います。



樋口さんが守ろうとしている規範はとてもシンプルです。内容自体にはあまり意外性はありません。それは本の最初の方に出てくる「水5訓」をはじめとする石橋オーナーの薫陶をベースにし、樋口さんの人生で大きな影響を与えた祖母やその他の方々の行動規範が統合されて作られています。



問題はそういう規範が上手く機能しなくなることが多いという点です。組織が大きくなってくると、規範意識の低い人に目が届かず、居場所が出来てしまうので、どうしても気の緩みが出てくるんだろうと思います。



そういう時に、トップがとらないとならない態度のひとつが樋口さんが言う熱湯経営というもので、要するにトップ自らが行動し、身をもって規範の具体を示し、その規範にそぐわない事例を現場で見つけたら一罰百戒的な態度を取るべきだ、ということです。



3万人規模の会社でこのスタイルが有効に作用したというのは、とても心強い事例だと思います。3万人で作用するなら10万人くらいの組織でも同じ方法が通用するのではないか、と思えてくる。



これから組織のグローバル化が進んでいくと、この熱湯経営だけでは解決できない組織マネージメントの問題も出てくるのかもしれませんが、ひとつの事例として大和ハウスのことは読んでおいて損は無いと思います。