[]もっと面白い話になるのに、まとめ方変えれば。チームマネジメントの話。(日経ビジネス3月7日号特集「最強のチーム」)

hyoshi






今回の日経ビジネスの特集「最強のチーム」。比喩で簡単に言えば、現代組織での「3本の矢」の話をしたかったのだろうと思います。



つまり、「メンバーの意識を同じ方向に束ねれば競争に勝てるのではないか?それはスタープレーヤーの居ない弱小組織でも可能なのではないか?」という論点設定。



表紙が新幹線の清掃会社のおばちゃんたちの写真なのは、「普通のおばちゃんでも、チーム運営が良ければすごいことができる」というメッセージでしょう。



色々なケースが紹介されているんですが、この話、2つの話が混じってしまっているので分けて考えた方が良いのではないかと思うんですね。



あと、これは余談で、日経ビジネスに対する苦情ですが、今回の記事、論点と関係の無いケースが紛れ込んでいるように思います。 僕は読んでいて、途中でロストしました。何の特集なのか良くわからなくなった。 幅広く事例を集めるのは良いのですが、特集の核心に関係の無いケースは載せないほうが良いと思います。何が言いたいのかぼやけてしまうので。



で、2つの話というのは、



?動機付けに成功したケース

?組織デザインが秀逸なケース



の2つです。どちらもミクロ組織論の範疇ですが、?の方が個人の話をしているのに対して?は集団の話をしています。これで、ケースを振り分けると、



?動機付けに成功したケース

   ・テッセイ (新幹線の清掃)

   ・千葉興業銀行

   ・YKK

?組織デザインが秀逸なケース

   ・TIS



(参考)論点と関係ないケース

   ・アサヒビール

     → スーパードライの昔のブランドコンセプトを参考にした、という話に過ぎない

   ・ブラザー工業

     → 会社のミッションを明確に示した、という話に過ぎない

   ・花王

     → 良い商品を作った、という話に過ぎない

   ・自衛隊救命救急センター

     → 因果関係が逆では?「良いチームだったから危機を乗り切った」のではなく、

       「危機に直面しているから良いチームになった」ということ





?の方は、期待理論から眺めてみると見通しが良くなります。



「努力→成果→報酬→目的」



という個人の期待の流れが一箇所でも詰まると、個人の動機付けは失われます。チームメンバーの期待のどこが目詰まりをしているのかを察知し、それを取り除くことで、全員の努力を引き出せるはず。今回のケースだと、「努力→成果」の最初の部分と「成果→報酬」の部分の目詰まりをうまく解決した事例として読み解けます。



?の方は、僕はこれ、面白いな、と思いました。

もうちょっと深堀して話を聞いてみたいし、似たようなケースが他の会社やチームでもあるのではないかと思います。リーダーの女房役がチームを円滑に運営する重要な役割を担っている、という話。



フォーマルコミュニケーションの類型化の研究では、「全方位型」のコミュニケーションは参加者の満足度を高めるということになっているようですが、リーダーの資質によっては、別の形態をとったほうが良いのではないか、というような話と解釈しました。



チームワークとか個人の動機付けに関しては色々な先行研究や理論があります。今回の特集、論点は重要だと思いますが、その答えを出すために、どの切り口から迫っていくのか、をもうちょっと絞り込めばもっと面白い内容になったのになあ、と思います。