[]「鈍」な会社を「俊敏」企業に蘇らせる!

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これは面白い本



色々な人と話をし、色々な会社の問題を考えれば考えるほど、「結局、経営課題の多くは組織デザインの問題に行き着くんだな」と思うことが多くなりました。



目に見える問題は様々なれど、原因を辿っていくといつも組織の問題にぶち当たります。



一人一人の能力は高いのに、みんなてんでばらばらな方向に向かっているので組織力がゼロになってしまっている会社。社内の上司の顔色ばかりみる強烈な内向き体質の会社。隣の部門と会話が無い会社。競合や顧客に対する理解がほとんど無い会社。



こういう会社ばかり見ていると、Appleスティーブ・ジョブスのようなカリスマ経営者が率いる会社や、強力な天才創業者が引っ張る会社でないと、ビジネスで成功するのは無理なんではないか?と思ってしまいます。



ただ、これって単なるメシア幻想。カリスマ待望的な考え方はおそらく間違っているんだろうと思います。こういう考え方をし始めたら、ビジョナリーカンパニーの衰退の4段階(5段階?)説を思い出したほうがよさそうです。カリスマがいなくても強力な組織力を発揮する会社はあるし、そこには優れた組織モデルがあります。



「うちの会社が駄目なのはジョブスが居ないからだ」と文句を言うよりも、「ジョブスが居ないうちの会社が組織力を発揮するには、どのような組織体系を持てばよいのか?」を考えた方がよっぽど生産的。



この本はそういう意味でとても示唆に富む本。自立分散型のモデルで組織がうまく動くということはどういうことなのかを丁寧に議論しています。議論自体は抽象的ですが、具体的に一人一人はどのような意識でどのような仕組みで、どのような仕事をしている必要があるのか、イメージがわきます。



要所要所に差し込まれているメタファーも知性的。



組織のあり方を考える上でとても参考になる本でした。